仕事の『億劫』を解消しよう 理論編

仕事の億劫を解消するためのコツ、本日は理論編です。

前回お話しました『テクニック編』で億劫が解消しない場合、根本的な問題解決の必要があるのだと思います。

その問題を解決するために、まずは『なぜ人は億劫になるのか?』と考えてみましょう。

 

 

◆そもそも論として“隠れ”体調不良かも

どんなに気張ってみても、体がついていかないのならヤル気になれません。

体調不良とは、熱を出すとかお腹を壊すとか、そういう目に見える症状の前に『何となく気分が乗らない』『気持ちが沈む』という不快感から始まっています。

この不快感を、敏感に察知することが大切です。

普段忙しくしていると、そういう気持ちの機微を無視して「サボってはいけない!」「みんながんばっているんだから!」と、自分を無理やり鼓舞して、目の前の仕事をなんとかこなそうとします。

その結果、病気になるわけです。まじめな人にこの兆候が多いです。

なんとなく気持ちが乗らないときは、まずは休みましょう。週末はゆっくりするとか、家に帰ったらダラダラしてないですぐ床につくとか、可能ならリスケをお願いするとか。

体調管理だって仕事のうちですからね。

そうして2〜3日ゆっくりしてヤル気が回復するなら、それは疲れているせいだったわけです。体の疲れは気構えではどうにもならないので、自分の体調には十分に気を払いましょう。

過去、仕事が終わってから熱を出したりしているのなら……いま仕事が億劫なのは、十中八九疲れが原因です。

 

◆物事は、最初がいちばん億劫だと知りましょう

たとえば車。

最近は、マニュアル車なんて運転されないから気づかない方もいるかもしれませんが、自動車は、発進時に最もチカラがいるんですね。あの重たい車体を動かすのですからそりゃチカラがいるでしょう。

でも、いったん動き始めるとスムーズに走り続けます。だから車のギアは、ローギアが一番馬力があって遅く、トップギアになると馬力はないが早い、というように設計されています。

人間の気持ちもこれと同じです。

仕事や勉強をスタートさせるときが、もっとも『重い』んですね。

だから、仕事の取りかかりは、じっくりとスタートさせるのがポイントです。

前回紹介した『テンプレ化』は、そのためのテクニックでもあります。慣れ親しんだ作業をリズミカルに行うことで、ちょっとずつギアをあげていくわけです。

重たいものは分割すれば軽くなります。だから、最初の仕事は「とりあえずファイルを開こう」とか「とりあえず資料を読もう」とか、それでも気が重いのなら「とりあえず、資料の1行目だけを1分間見よう」とか、そういう行動にフォーカスして始めるわけです。

いったん始めれば、思いのほかスムーズに進んでいき、20〜30分もすると、快適に仕事を進めて行けます。

 

◆いまの仕事は、『あなた本来の目的』と一致していないのかも

ゆっくり休息もとったし、仕事もテンプレ化している。

にもかかわらず、仕事の億劫が解消されない……

……そんなときは、いまの仕事は、あなたの目的と一致していないのかもしれません。

 

去年から今年にかけて、アドラー心理学が広まりました。

大変有用な考え方なので、時間があればぜひ関連書をご一読頂ければと思いますが、ここで、その超要約をご紹介するとこういうことです。

『人間の感情には、常に目的がある』(目的論といいます)

たとえば、喫茶店で、ウエイトレスにコーヒーをこぼされて怒ったとします。

怒ったのはあくまでも反射的だ、というのが一般的な見解ですですが、本当は、その一瞬の間に、怒った人は、達成したい『目的』を定めて、その目的を達成させるため瞬時に感情を作り出したのです。

この場合の目的は『相手を屈服させたい』かもしれませんし、『溜め込んだストレスを発散させたい』かもしれません。

いずれにしろ『屈服させる』『ストレス解消のため大声を出す』という『目的』が先あって、怒りという感情が喚起される、というのがアドラー心理学の考え方です。

いままで、ぼくたちは『感情は反射的にわき起こってしまうもの』と考えていました。ですがアドラーはこれを否定しているわけです。

感情は、目的があって喚起されるわけですから、反射的ではないのです。

 

 

この考え方は、引き寄せの法則の助けにもなります。

引き寄せの法則は、『良い気持ちでいれば良い出来事が引き寄せられ、悪い気持ちでいれば悪い出来事が引き寄せられる』というものです。

だから、良い出来事を引き寄せるためには、悪い出来事の渦中にあっても、できるかぎり良い気持ちでいなければならないわけです。

『感情は反射的に起きる』のが真実であれば、『悪い出来事の渦中で良い気持ちでいる』ことなんてできません。つまり引き寄せの法則は、存在していても使えないということになります。

でもアドラーは『感情はコントロール可能』であることを示唆しているわけです。

 

感情のコントロールは思考から。

『嫌な仕事』をいまあなたがやっているとしても「ああ嫌だ、こんな仕事もうやめたい」と思うのか「失業しているよりは全然マシだ」と考えるのかで、気持ちの持ちようは段違いなわけですから。

この『感情のコントロールは思考から』を、さらに一歩踏み込んだのがアドラー心理学だとぼくは思いました。

 

感情が、目的を達成するために喚起されるのであれば。

あなた本来の目的が分かれば、ぼくたちは、良い気持ちを継続的に維持できるのではないか?

そして良い気持ちが維持できればできるほどに、毎日ヤル気に溢れ、良い出来事を引き寄せます。

いろいろやってみても仕事の億劫が解消されないのであれば、あなたの今の仕事と、『あなた本来の目的』には乖離がある──だから億劫になるわけです。

 

あなた本来の目的と今の仕事は合致していないなら、今の仕事はやめなさい──といっているわけではありません。

重要なのは、目的と仕事を紐付けることです。こじつけでもいいので。

たとえば、俳優を目指して上京してきたイケメン男子がいたとします。彼は、日中はオーディションや稽古で忙しく、夜は生活費を稼ぐためバイトをしていました。

しかしこの男性、半年もするとバイトが億劫になってきました。「オレが本当にやりたいのは、演技なのに……」という想いが日々強まります。

でも、こう考えることもできます。
「俳優になるためのチャンスは、どう考えても東京がいちばん多い。このチャンスがたくさんある場所にいるため、ちゃんと生活費を稼ごう」──と。

『チャンスが多い東京にいる』ことは、俳優になるための前提条件となります。田舎に帰っては、そもそものチャンスが失われますから。だから『彼本来の目的』と『バイト』は紐付けられるわけです。

もちろん、バイトが100%好きになることはないかもしれませんが、今までよりはバイトにも精を出せるようになると思いませんか?

あなた本来の目的と、今の仕事を紐付けるとは、このようにして考えていきます。

 

さて、ここで一つ重要な問題が浮かび上がります。

その問題とは『あなた本来の目的』とはいったいなんなのか?ということです。

皆さん、自分の目的を明確に分かっていますでしょうか?

前例のように『俳優になりたい』『アイドルになりたい』とか、ぼくのように『作家になりたい』という具体的な目的があるのならいいのですが、多くの人は、そういう具体的な目的がないように思われます。

 

ピーター・ドラッカーは、とある人に宛てた手紙にこんなことを書いたそうです。

『生産性とは他人の仕事を助けることではありません。天から与えられた才能を最大限に生かすべく、持てる時間のすべてをそこに費やすことなのです』
(『エッセンシャル思考』P169より グレッグ・マキューン著 かんき出版)

つまりあなた本来の目的とは、持って生まれた才能を開花させ、その才能を縦横無尽に使いまくること、なのだとぼくは思います。

 

「いやいや、ぼくにはそんなたいそうな才能ありませんよ?」

とお思いでしょうか?

そんなふうに思っているなら、その考えは明確に否定できます。

人間に生まれたからには、誰しも、多種多様な才能を持っています。ただそれを、みんな、発揮しないまま死んでいくだけなんです。

とてももったいないと、ぼくは思います。

もし『才能』という言葉に抵抗があるなら、『適正』と言い換えてもいいでしょう。適正なら、誰にでもあると思いませんか?

ぼくのようにデジタル関係に適正がある人もいるでしょうし、愛情に溢れている人なら福祉関係に適正があるかもしれませんし、何かを教えるのに適正がある人もいるでしょう。

ぼくは、才能とか適正とかを考えるのが好きなので、自分自身も、様々な適性診断をやってみました。そして友人知人の診断結果もいろいろと聞いてみました。

その結果、どんな人であっても、
「あなたには、なんの適正もありません。一生、他人にこき使われる奴隷として生きるしかありません」
などと診断を受けた人はいません(^^;

だれしも何かしらの適正を持っているものです。

教育とは、その適正を伸ばすことが本来の目的なわけです。国語・算数・理科・社会など、文科省が定めたカテゴリー内に適正がある人もいれば、そうでない人もいます。

そういう多種多様な適正があるからこそ、世の中が生き生きとするのだとぼくは思います。

 

仕事が億劫というテーマからだいぶ飛躍しましたが、でもけっきょくは、自分自身の根っこを確かめることが何よりもの近道です。

仕事の億劫を解消するためには、『あなた本来の目的』と『今の仕事』を紐付ける必要があり、そのために、自分自身の適正を見極める必要があるわけです。

なぜなら、あなたの適正を発揮することが、あなた本来の目的ですから。

でも、どんな適正があるかもわからないのに、仕事と紐付けることなんてできませんからね。

なので次回は、どうすればあなたの適正を探せるかを考えてみましょう。

 

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