コミュニケーションと引き寄せの法則について

心理学者のアルフレッド・アドラーは、

『人間の悩みのすべては対人関係』

と言いました。言われてみると確かに納得です。

仕事も家庭も恋人も何もかもが人間関係に端を発しています。

お金だって、人間関係から入ってくるもの。社長や上司と折り合い悪くなったら大変ですし、お客さんや取引先との関係がゼロになったら倒産ですからね。

そんな重要な人間関係を円滑にするのは、言わずもがなコミュニケーション。

そこで今回は、コミュニケーションと引き寄せの法則について考えてみたいと思います。

 

 

コミュニケーションの本質とは何か?

皆さんは、コミュニケーションの本質はなんだと思いますか?

相手を飽きさせない話術でしょうか?
心理を操れるテクニックでしょうか?
あるいは人の話を聞く力でしょうか?

会話術や説得術の類いの本はぼくもけっこう読みましたが、いずれもテクニック論だと思います。本質を言い表していません。

もちろんテクニックが悪いとはいいません。むしろ必要でしょう。ですが、本質を分かっていないと、せっかくのテクニックも活用できません。

サッカーで例えるなら、ルールを知らないでシュートの練習をしても試合で勝てないわけです。

 

では、コミュニケーションの本質とは何か?

ぼくは『高い視点』だと考えています。

 

『高い視点』とは何か?

『高い視点』とは、以下の3つを同時に認識している状態を指します。

・自分の話
・相手の話
・自分と相手が話している状況

 

まず、自分の話。

実は、自分の話すら認識していない人がけっこう多いです。あなたの周りにも、支離滅裂な話をしている人、いませんか? そういう人は『自分の話』を認識していない人です。自分で自分の話すら聞いていないわけです。

 

つぎに、相手の話。

聞けているようで聞けていないのが相手の話。興味関心のない話だとなおさらです。自分の話と、相手の話の文脈を正確に理解しようと注意していると……実は、ほとんどの会話は破綻していることに気づきます。お互いが、自分の話と自分の思い込みで会話を進めますからね。

 

そして、一番大切なのが『自分と相手が話している状況』を認識していること。

端的に言えば『空気が読める』ということです。

たとえば、自分の話に相手が退屈していると分かるとか、相手の言葉にならない主張に気づけるとか、はたまた、相手の発言にたいして自分は怒っているのか喜んでいるのか、いま自分が話したことは本当に相手に必要な内容だったのか──などなど。そういうことをリアルタイムで察知しながら会話を展開していける知覚能力です。

 

この3つができれば、コミュニケーションの達人といえます。

まれに生まれつきできる人もいますが……たいていの人は訓練するしかありません。

しかもテクニックではなく概念ですから、いくら会話術を練習したり、早口言葉を練習したところで上達しないのですね。

会話中、繰り返し、繰り返し『高い視点を持たなくては!』と自分に言い聞かせ、自制し、相手の会話にじっと耳を傾け理解する──そんな姿勢が大切です。

 

これを意識的にやろうとすると……すごく疲れます。

すごく疲れるのでコミュニケーションを取りたくなくなります。本末転倒ですね。

なので疲れないために、自然と高い視点を持って会話できるようになりたいもの。あたかも自転車の運転のように、最初はちょっと練習する必要ありますが、運転を覚えたらあとはスイスイ進めるようになりたいわけです。

そこで引き寄せの法則の出番です。

 

『高い視点』を自然に身につける方法

実は人間は、生まれつき高い視点を持っています。

ペットと暮らしている人はよくおわかりかと思いますが、犬猫をはじめとする動物には『自分』以外の視点はありません。

・自分の飼い主
・自分の縄張り
・自分の子供

という感じで、自分との関係性だけを認識しています。というか『自分』という概念すらないのでしょう。喜怒哀楽の感情はありますが、喜怒哀楽を認識すること──つまり「あ、ぼくはいま怒っているな」と考えることは動物にはあり得ません。

ですが人間は違います。自分の感情を自分で認識することもできますし、映画・小説・マンガのキャラに感情移入することもできます。これらはすべて高い視点のなせる技なのです。

 

 

つまり、高い視点を身につけなければならないのではありません。もともと持っているのですから。

コミュニケーションにおいて高い視点を見失っている、ということです。多くの人は。

見失っているということは、何かしらの阻害要因があるわけです。

その阻害要因とは──劣等感なのですね。

 

正確には、劣等感と劣等コンプレックスは区別する必要がありますが、ここでは、アドラー心理学の説明をするわけではありませんので、わかりやすく劣等感としましょう。

ぼくの経験上、劣等感が強い人ほどコミュニケーション不全に陥っています。

 

たとえば、だいぶ前の話になりますが、劣等感が強烈だったある社長さんの話。

彼は、若かりし頃は一流企業に入ってブイブイいわせていました(死語)。だから「自分はもっとやれる!」と思って独立起業したのですが……起業後は、まったくもってうまくいきません。いわゆる『会社の看板があったからこそ』の成功だったわけです。

仕事もなくなり、50代半ばにもなってバイトや派遣に精を出す始末。どうやら借金も相当にあるようです。社員もいなくなって自分一人。こうなると社長というか……フリーターですね。

でも彼の中では「俺はもっとやれるはずだった!」という思いはくすぶり続けたまま。一流企業でガンガン仕事をやっていたころのイメージのままなのです。

この社長さん、とにかく、自分がいかにすごい人間か、どれだけ営業できたのか、打ち合わせの間中、エンドレスにしゃべりまくるんですよ。打ち合わせになりませんて。

最大4時間、自慢話のオンパレード。こっちはげんなりですし、態度にも出てたと思いますが、ぼくの態度なんて気づきもしません。

「俺はこれだけやってきた! だから次の事業こそうまくいく!」

という論法で、まるで自分自身に言い聞かせているかのようでした。これを聞いていたぼくは──

「いまのあなたの、借金抱えてバイトしている状況がすべてを物語っているのでは?」

──と喉元まで出かかりましたが、空気を読んでぐっと飲み込みました。

『自分の話』も認識していない人の典型例で、自慢話すら支離滅裂で、痴呆症かと見まがうほどグチがリピートして……過去最悪にコミュニケーションがとれない人でした。

こっちから仕事をお断りしましたが……いまはどこで何をやっているのやら……。

 

この例から、コミュニケーションの最たる阻害要因は劣等感であるということを垣間見て頂けたでしょうか。

劣等感があるほどに自己主張が激しくなり、相手の話に耳を傾けず、状況も目に入らなくなるわけです。

劣等感をなくせ、とはいいません。というか悟りでも開かない限りなくならないでしょう。

ですが劣等感を抱えながらも高い視点を持つことは可能です。人間は、とっても器用な生き物ですから。

では劣等感を抱えながらも高い視点を持つにはどうしたらいいのか?

それは『心の余裕』を身につけるということです。

 

余裕があるからコミュニケーションが円滑になる

心に余裕があれば「ああ、ぼくは劣等感がたくさんあるな。でもまぁそれはそれとして、今日は商談に望もう」と思えるわけです。

でも心に余裕がなく劣等感が強いと、たとえば商談で、
「君のそのアイディア、ちょっとどうかと思うんだけど?」
と言われた瞬間に、自分自身を否定されたかのように感じてしまい、
「いや、そんなことはありません! なぜならば──!」
と激しく自己主張を始めるか、
「これは自分の上司が考えたわけでして実は──」
とダラダラいいわけを始めるか、どちらかです。

いずれのパターンも、『自分を否定された』と勘違いして、すごい勢いで身を守るわけです。相手は、「そのアイディアはどうよ?」と言っているだけで、当人のことを否定してもいなければ、そもそも当人にそこまで関心を寄せてもいないのに。

こういった勘違いが起こるのは、ひとえに『心の余裕』がないからなのです。

余裕があれば、『劣等感を抱いている自分』を認識しているわけですから、劣等感はいったん横に置いておくことができるため、そのような勘違いは起こしません。
「先方はアイディアを否定しただけで、自分自身が否定されているわけではない」と気づけます。

でも余裕がないと、ちょっとた否定・拒絶でも自己全否定に聞こえてしまうのです。なぜかって? そりゃあ余裕がないからでしょう(爆)

 

心に余裕があれば、相手の話も聞いてあげられます。相手が自分しか見えてなくて、グチのオンパレードになっていたとしても「まぁ仕方ない。たまにはグチを聞いてあげよう」くらいで済ませられることでしょう。

さらには、自分と相手の状況を、会話しながら認識することだってできます。自分の退屈そうな態度が出ていないか、相手がつまらなそうにしていないか、さらには、
「あの店員さん、そろそろ帰ってほしいと思っているな」とか、「隣の人、うるさそうにしているな」とか、そういうことまで気づけます。

もちろん練習次第で、自分の話を理路整然と起承転結つけておもしろおかしく話すことだって可能ですし、相手の心理操作だってできるやもしれません。

 

このほど左様に、心の余裕というのは重要なのですね。

余裕があるからこそ、相手にも周囲にも気を配れるわけです。

心の余裕=高い視点なのです。

では、心の余裕を獲得するためはどうすればいいか?

 

それは、毎日を楽しむことです。

つまりは引き寄せの法則なのです。

引き寄せの法則は『楽しい気持ちでいれば楽しい出来事が引き寄せられる』という法則です。

毎日楽しい気持ちでいれば、楽しい出来事が引き寄せられる。

楽しい出来事を引き寄せれば、もっと楽しい気持ちになる。

この好循環が、心の余裕を生み出す原動力です。

楽しい気持ちでいるのに心の余裕がないなんて状態、あり得ませんからね。

心の余裕ができれば、もともと備わっている高い視点を存分に発揮することができ、コミュニケーションが円滑になり、人間の唯一無二の悩みである『人間関係の諸問題』が解決され、より楽しい気持ちになり、ますます余裕が生まれます。

 

卵が先か鶏が先かみたいな話になってきましたが、そうではありません。

まず、余裕を身につけること。これが最初です。

楽しい出来事が起きるから楽しい気持ちになるのではありません。
楽しい気持ちでいるから楽しい出来事が起きるのです。

引き寄せ現象が信じられないならば、こう考えればいいでしょう。

楽しい気持ちでいれば、出来事の楽しい側面しか見えなくなる──と。

 

出来事には、常に良い面と悪い面が同居しています。

たとえば自営業で仕事がないときは死活問題です。

そんな時でも、
「ああ……今月は赤字だ……」と思うのか、
「今月は長期休暇と思ってのんびりしよう」と思うのか、
「今月は時間を買っていると思おう! いままでやれてなかったアレコレをやるぞ!」と思うのか。

この気持ちによって、今日の行動が雲泥の差になります。
行動に差がつけば、自ずと、それに伴う結果にも差がつきます。

月末、案の定赤字になってげんなりしている自分なのか。
のんびりできて体力気力を回復できた自分なのか。
来月の仕込みを十二分にやれた自分なのか。

月末の結果はぜんぜん違っていますよね。『仕事がない』という出来事には変わりないのに。

引き寄せの法則とは、出来事の良い面を見つけヤル気を出す法則だともいえます。ヤル気が出て行動すれば結果も当然変わるでしょう。

 

いま、どんなことが起きていようとも、そこに良い面を見つけることはできます。

楽しくなるような側面を見つけること。

そこが、心の余裕を生み出す第一歩です。

コミュニケーションの本質です。

心の余裕が少しでも生まれれば、ちょっとでも高い視点を持てるようになれれば、世の中の人の大半は自分のことすら“見えて”みませんから、すぐに抜きんでられること請け合いですよ。

 

ぜひ、毎日を楽しんでください。

楽しむだけで、労せず自然にコミュニケーションが改善していくなんて、ステキだと思いませんか?