先日、友人が「12月で会社を辞めるわ」と言ってきました。
「え?」とびっくりしたのですが、もうすでに退職を申し出たとのことで後の祭り。
今のご時世、専門職でもでないかぎり転職は相当難しいと思うのですが……。あるとしたら営業職くらいかなぁ。
なんでいきなり退職なのか彼女に聞いてみたら、いろいろと不満が出る出る(^^;
驚いたのは、ぼくが当たり前だと考えていたことが、彼女には当たり前ではなかったということ。そこで今回は、そこでの気づきをシェアしておこうと思います。
仕事を任せてもらえない
彼女は、入社早々、あるプロジェクトで大失敗をしてからこっち、希望の仕事からは外されて事務職をしていました。
結局、それが最後まで尾を引いていたようです。
彼女は「もう一度仕事を任せてくれさえすれば……」と考えているようなのですが、ぼくに言わせれば大間違いです。
いちおう、代表取締役でもあるぼくからすると、会社は学校ではありません。会社に大損害を与えたスタッフに、再び仕事を任せる勇気はぼくにはないです。
だから、引き寄せの法則的に彼女にアドバイスできたとしたら、こうなります。
「事務仕事で、楽しみを見いだしなさい」
引き寄せの法則は、楽しい気持ちであれば、楽しい出来事を引き寄せる法則です。もし彼女が、事務職に飛ばされたとしても、そこで明るく楽しく仕事に励んでいれば、自体は好転したのです。
それに、事務職を楽しんでやっている人は世の中たくさんいます。楽しめない道理はありません。彼女自身が、事務職を見下しているだけなのです。
事務職でがんばっていれば、上司だって、「こんなに気が利いてヤル気があるのなら、もう一度仕事を任せてみよう」と思ったかもしれませんし、予想外の良い出来事を引き寄せたかもしれません。
不平不満を心中に抱えている人を登用するなんてことは、あり得ないんです。言葉に出さなくても、他人は意外と分かっているものですから。
もう十数年前になりますが、ぼくだって同じ境遇でした。今では自他ともに認めるテクノロジーオタクですが、当時は、どこのIT企業も採用してくれませんでした。
ことごとく不採用の嵐です。あげく貯金もなくなって、ビラ配りの日雇い労働をする始末です。
ITを駆使したハイテク業務をしたいのに、やっているのはビラ配り(^^; テクノロジーの『テ』の字もありません。寒空の中、ひたすらビラを配る『手』がかじかむばかりです(上手いこと言った?)
あまりにも惨めで、ビラを配る8時間が途方もなく長くて、引き寄せの法則なんて知らないときでしたが、とにかく何か工夫しないと死んでしまうと思いましたから、「いかにしてビラを受け取ってもらうか?」という『ゲーム』を始めたのですね。
そうしたら、ビラを配る場所はもちろん、手渡すタイミング、手の高さ、愛想の良さなどで、ビラを受け取ってもらえる確率があがることに気づきます。するとちょっとおもしろくなって、いろいろと工夫するようになりました。
そして、その1週間後。
小さな会社でしたが、IT企業でのバイトが決まり、なぜか社長に気に入られて、入社当日、立食パーティーに同行することになりました。
結婚式もやれる高級ホテルの宴会場で、高い天井にはシャンデリアがたくさんあって、スーツに身を固めたIT企業人が談笑しているわけです。
ぼくは前日まで、ラーメン屋のビラを配っていたのです。でもその翌日、高級ホテルでぱーちーです。
嘘みたいな話でしょう?
でも、ほんとなんです。
教わっていない
彼女は、プロジェクトが失敗した理由に「あんなこと教わってもいない」と不満を言っていたのですけれども。
くどいようですが、会社は学校ではありません。30年前なら、一人の社員をじっくり育ててくれたのかもしれませんが、今日びの会社はそんな余裕ありません。即戦力がほしいのです。
この辺の思考回路は、答えを教える現代教育の弊害ですかねぇ。っていうか、ぼくと彼女は、1つしか年齢違わないのですが……。
仕事は、教えてもらえるものではありません。
自分で勉強し、考え、身につけるものです。
言うまでもなく、ぼくに先生なんていませんでした。デザインも、プログラミングも、ネットワークの仕組みも各種アプリケーションの操作方法も、先生と言えるのは書籍だけでした。
唯一例外として、戦略とかマーケティングとか、そういう商売の仕組みだけは先生がいました。ここだけは、書籍を読んでもどうしても分からなかったのですが、分からないなりにがんばってあがいて前向きに勉強してれば、いわゆるメンターだって引き寄せるのですね。
相談しない
不幸のドツボにはまっていく人は、自分の境遇を他人に相談しません。
思うに、劣等コンプレックスによって、他人に頼ることができないのだと思います。
劣等コンプレックスを抱えている人は、プライドが異常な方向に伸びてしまっているので、異常なプライドが邪魔して他人に相談できないのでしょう。
自分のツラい境遇を、他人に開示することができないわけです。
彼女は『自分一人で決めた』ということに一種の満足感を覚えるのかもしれませんが、その判断は、劣等コンプレックスから導き出された判断ですから、明らかに間違っています。よって今後、より困難な状況を引き寄せてしまうと思います。
重要なことを決めるときは、ぜひ、信頼している友人知人に相談しましょう。一人か二人で構いませんから。
もちろん、相手の言うことを100%聞かねばならない、わけではありません。アドバイスを受けるか、受けないかを決めるのはあなた自身でいいのです。
他人のアドバイスが必要な本当の理由はコレです。
アドバイスを聞くことによって、視野の拡張が起こせる。
この『視野拡張』が重要なのです。自分事が、客観的に考えられるようになるのです。
これを心理学でメタ認知といいます。
例えば、友人に「転職はやめたほうがいいよ」と言われ、そのアドバイスを1日考えてみて、それでもやっぱり転職を決めたのなら、それはそれでいいのです。一人で考えて決める転職よりも、次の仕事の引き寄せ方が違ってきます。
なぜって、一人で悶々とした気持ちで決めた転職よりも、人の意見を聞いた上での転職は、心構えが全然違いますからね。
『次の仕事が見つからないかもしれない』などの転職のデメリットを考慮した上での決断は、どんな結果も自分自身が引き受ける、という決意でもあります。
決意の元の判断は、とても前向きです。
この前向きな気持ちが、よりよい転職先を引き寄せるわけです。
やりたいことではなく、得意なことを探す
「次の仕事どうするの?」と聞いたら、彼女は、「まだ決めてないけど、とにかくやりたい仕事を探すわ」と言いました。
それを聞いたぼくは、思わずため息をつきそうになりました。
そうではない。
そうではないんですよ(ToT)
やりたい仕事なんてありません。どこにもないんです。
なぜなら、仕事とは、やっているうちにやりたい仕事になるのですから。
やりたいことが見つからないという人は、やりたいこと探しはもうやめましょう。
探すべきは、得意なことです。
自身の生まれ持った才能を探すのです。
小学校のころ、あなたは運動が得意なほうでしたか? 苦手なほうでしたか?
徒競走が苦手な子は、可哀相ですけれども、どんなにがんばっても早く走れません。がんばらない子よりは早くなるかもしれませんが、普通の運動神経を持つ子がちょっとがんばっただけで、追い抜かれてしまいます。どうあがいても勝てないのです。
冷酷な物言いようかもしれませんが、これが現実です。
でも、その徒競走が苦手な子は、手先がとても器用かもしれません。絵を描かせたら、常に、県や全国のコンクールで入賞するかもしれないのです。
何を隠そう、このぼくです(^^;
だったら、図画工作を伸ばせばいいじゃないですか。
さて。
身体能力は目に見えるので分かりやすいわけですが、頭の中はどうでしょうか?
脳だって、体の一部です。
徒競走であれだけ差がつく人間が、果たして、頭の中はみんな同等なのでしょうか?
頭の悪いヤツは何やってもダメ、と言っているわけではありませんのでくれぐれも誤解なきよう。
人の得手不得手というのは、本人が自覚する以上に差がつく、と言いたいのです。
マラソンで、最初からスタートするか、折り返し地点からスタートするかのようなものです。しかも、途中からスタートする人は、走りもめっちゃ早いのです。
神さまが、せっかく、何かしらの才能を平等に与えてくれているのですから、自分の才能は何なのか考え、それを見つけ、生かしましょう、ということです。
徒競走で1位になれなくても、ITで1位になれるかもしれないじゃないですか。
これまた偏差値教育の弊害だと思うのですが、物差しは一つじゃないんです。というか、物差しなんて存在しません。
自分の価値は、自分で決めるのです。誰にも決めさせてはいけません。
けっきょく、環境を変えても意味がないんです
そろそろまとめましょう。
いろいろ言いましたが、覚えておいてほしいのはこの1つに尽きます。
『環境を変えるのではなく、自分を変えていくこと』
大切なのは、これだけです。会社を変えても、職場を変えても、仕事を変えても、あなた自身が変わらなければ何も変わりません。
ぼくからすれば、彼女は、おそらく次の会社でも大失態をさらし、同じような境遇に陥るのは目に見えているんです。
では、自分を変えるとはどういうことか?
自分の思考を変え、自分の感情を変えていくということです。
その結果、行動が変わってきます。あなたの行動が変わることで、初めて環境が変わるのです。
幸運は、今も、あなたの足下の至る所に転がっているものです。それに気づかないだけなのです。
自分自身の感情に気を配ってください。幸運は、いい気持ちになって初めて見えるようになるのですから。リラックスしているときに良いアイディアが浮かぶ、のと同じ原理です。
だから、落ち込んでいるなら、いろいろ工夫して、少しでも気持ちが上向くよう工夫してください。
上司に働きかけるのではありません。
会社を変えるのでもありません。
自分自身の気持ちに働きかけ、変えていくことによって、初めて、世界が変わります。
ぜひ、自分自身の感情を大切にしてくださいね。