不安なとき、どうすれば『今ここ』を楽しめるのか?

引き寄せの法則では、『今ここを楽しみなさい』とよく言われています。

引き寄せの法則は『楽しい気分でいれば楽しい出来事を引き寄せる』ですから、今ここを楽しむのは重要でしょう。

ですが、そうはいっても「こんなに不安なのに、今ここなんて楽しめるか!?」ということはどんな人にもあるかと思います。

そこで今回は、どんなに不安であろうとも、今ここを楽しむ方法を考えてみましょう。

そのためには、逆説的ですが、『今ここにある不安』に気づくこと、そこから始まります。

 

そもそも不安とは何か?

不安とは『将来を先取りした恐怖』です。

不安は恐怖の一種なのです。恐怖に『将来の』という枕詞がつくと『不安』になります。

例えば、向こうの路地から、包丁持った見知らぬ男が現れたなら、そこで感じるのは不安ではありません。純然たる恐怖です。でも、「失業したらどうしよう?」「貯金がなくなったらどうしよう?」「老後はどうしよう?」という感情は不安です。先々のことに恐怖を感じていますから。

 

この不安という感情は、人間だけが抱く感情です。

犬猫に不安は存在しません。なぜならば、犬猫には『時間』という概念が理解できませんから。どういうわけか、人間だけが時間という概念を生み出したのです。

ちなみに時間とは、時計がチクタク動くことではありません。

『過去や未来に対して何かしらの感情を抱くこと』──これが時間の本質です。だから犬猫に時間は存在しないわけです。

例えば、犬猫が年老いても悲観したりしません。うちにいたわんこ(メス)は、人間でいうと80歳くらいまで生きておりましたが、散歩に出たらいつもモテモテでした。おばあちゃん犬なのに、若い雄犬がいいよってくるのです……!

そしてうちのわんこは、寄ってきた雄犬を少しクンクンしたあと、興味をなくし「ふんっ」とそっぽを向きます。なんという女王様っぷり(^^;

それを見ていたぼくはつくづく「犬は年齢を気にしないのだなぁ」と思いました。

犬猫は、目の前に餌が出たら大喜びしますし、飼い主が帰ってきても大喜びです。しっぽをブリブリ振り回すことでしょう。ですが「来年餓死するかも?」とか「ご主人が先に死んだらどうしよう?」とかは考えられません。年取ったら元気がなくなりますが「ああ……若い頃はあんなに走り回れたのに」なんてことも全く考えていません。年老いたら、ソファの上で、仰向けにお腹をおっぴろげ、ぐぅぐぅイビキかいて寝るだけです。

その寝姿は、大変幸せそうで、まさに『今ここを楽しんでいる』とも見えましたが……やはりそうではないのです。

犬猫の『今ここ』は、単純に考えなしの『今ここ』です。下手をすればのたれ死にする『今ここ』です。

人間は、のたれ死にしたくないから、時間を発明したのです。

だからそれを無視してはいけません。つまり、引き寄せの法則を理由に享楽主義にひた走っていたら……自滅します。

そりゃそうですよね。例えば仕事が嫌だからと退職し、働きもせず食っちゃ寝してたらお金がなくなるのは当たり前です。それで「いい気分でいればお金は空から降ってくる」と本気で思えるなら──その人はちょっとどうかしています。

だから『今ここ』とは、本当の意味で今ここを楽しまなければなりません。

では、本当の楽しみとはなんなのか?

本当の楽しみとは、こと不安感のまっただ中の楽しみとは、希望のことです。

まさにパンドラの箱ですね。

 

 

不安から希望を見いだすこと、それが『今ここを楽しむ』ということ

そもそも、ぼくたちは将来の何が怖いのでしょうか?

このニッポンという国に生まれたぼくたちの将来は、そんなに暗澹たるものなのでしょうか?

普通に考えて、もし、向こう十数年で日本人の大半が飢えて死ぬようなことがあれば、それはもはや人類滅亡の危機ですよね?

起こりえるかもしれませんが、でも、そんな状況を生々しく想像できて不安感を持つ人はいないと思います。

だから、飢えて死ぬことにぼくたちは怯えているのではありません。

ぼくたちが怖いのは「お隣さんは幸せそうなのに、自分だけ不幸」という将来が怖いわけです。

旧友は出世して年収1000万円なのに、自分は日雇い労働のワーキングプア、という将来が怖いわけです。

周りはみんな結婚して子供もいるのに、自分は独身、という将来が怖いわけです。

であれば、そうならないために今から考えればいいじゃないですか。試行錯誤しながら、四苦八苦しながらも何かをやっていけば、何かをなせます。そのトライアンドエラーが希望なのです。

いちばんまずいのは、思考停止して何もやらないことですから。

あなたは、誰にも飼い慣らされてはならないのです。家族にも、会社にも、国家にも。

常に自分で考えて創意工夫するからこそ、人間らしいのです。

試行錯誤し、創意工夫しているその状況、それが希望です。

 

では、そんなヤル気に満ちた状態に持っていくためにはどうすればいいのでしょうか?

希望を持つ方法は案外簡単です。

しっかりと不安を感じて、明確な目標設定をすること。これだけです。

とくに不安を感じること──つまり『将来の恐怖』を生々しく感じることが大切です。

 

ぼくの例でお話しすると、起業して数年、そこそこ順調にコトが進みまして、金銭面でとくに不自由しませんでした。会社経営とは別の目標──作家になるという目標があったのですが、なんか事業のほうが儲かるから、なし崩し的にビジネスを続けてしまったのですね。

だから「作家になりたい」とはクチではいいながらも、そこそこ儲けている現実に満足しておりました。そもそも、スタートがビラ配りでしたから、『ビラ配りから代表取締役になった』という満足感はひとしおでした。

そのときのぼくは、本気で「作家になろう」とは考えていなかったのだなと今なら思います。

それもこれも、『将来の恐怖』を心底感じていなかったからです。そこそこやれている自分にそこそこ満足していたわけですから。

でもあるときハタと「なんで、カネのためにこんなに躍起になっているんだ?」と我に返ります。折しも売上が限界に達して、自分とバイト2人で回すのはもう限界だったので、より多くのスタッフを入れねばならないという状況でした。

でもぼくは、たくさんの人を雇用するのにはものすごく抵抗がありました。

なぜかというと、実家も商売をやっていたので、労使関係で散々にもめている親を、子供の頃から見てきたからだと思います。だから、親の姿と自分の姿が重なり……生々しい不安感を味わったのです。このままでは親と同じ道を歩む、と。

会社を大きくするためには雇用するしかない。でも雇用は絶対に嫌だ。

このジレンマから、「今はいいけど、この先どうすんだ?」という意識が芽生えます。先々に不安になったのです。しかも、ぼくはIT業界の人間ですが、IT業界は盛衰がとても早いのです。10年後に生き残っている会社なんてほとんどないくらいです。だからなおさら不安は増大しました。

そのときに、スイッチが切り替わったのだと思います。

 

そうしたら一変、状況がめまぐるしく変わっていきました。

『引き剥がしの法則』とでも言いましょうか。

「会社を大きくしても仕方がない。本当にやりたいことをやろう!」と決めたとたん、決めただけで、仕事のクオリティは変わっていないのに、お客さんはどんどんいなくなり、バイトには辞めてもらわざるを得なくなり、瞬く間に売上が半減しました。今まで築いてきた実績が砂山のように崩れていくのですから、そりゃあ恐怖でした。

でも一方では、もう一度同じやり方で会社を建て直したところで、意味がないことにも気づいていました。ぼくの資質には合っていなかったので。

ぼくは、貯金を切り崩しながら考えます。ちなみにそのときの気分は『脇腹を刺されて血がドクドク流れているのに、全力疾走して病院を探している』というような気分です。

でも、歯を食いしばって様々に模索していると『作家になるための方法』が徐々に見つかるようになっていきます。

 

スイッチが切り替わると、つまり決意したとたんに、状況が同じなのに、まるで違う発見をするようになるのです。

嫌な気分でいると嫌な出来事を引き寄せる、というのは、引き寄せの一面でしかありません。

その真実は『出来事の見方が変わった』ということなのです。

ぼくの例でいえば、『売上を上げる』という見方から、『作家になる』という見方に変わりました。その瞬間から、『作家になる』ために状況を見て行動しますから、それを阻害する要因は無意識に是が非にでも排除するのです。

そもそも、お客さんがいなくなれば営業すればいいのです。当時すでに「どうすれば顧客を取ってこれるか?」も分かっていましたから、それを粛々とやればよかったのです。でもぼくは「営業しよう」という発想すらもちませんでした。今から考えると大変不思議なのですが……当時は『営業する』という発想がまるで出ませんでした。売上さがるのは当たり前です。

でも気分は『脇腹差されて血がドクドク流れている』ですから、一見すると「ああ……嫌な気分になったから嫌な出来事を引き寄せてしまった」と思いがちですが、違うのです。

自分の目標に合わせて、自分で見えなくしているだけなのです。

目標が変われば、自分がキャッチする情報はすべて変わります。だから、目に見える風景も、体験する状況もまったく違ってくるのです。

人間の脳は、注意を向けたものしか見ません。このブログでも何度かお話ししましたが、「赤いものを見よう」と思ったとたんに、周囲は赤いもので溢れます。いままで、赤いものなど気づきもしなかったのに。

いったんこのブログを読むのをやめて、あなたの周囲の赤いものを探してみてください。10秒で構いません。はい、どうぞ。

 

赤いもの、たくさん見つかりましたよね?

詳細は、ぼくの先生の本をご一読頂ければと思いますが、とにもかくにも、脳は、意識したものしかキャッチしないのです。正確に言えば、脳は、あらゆる情報をキャッチしているのですが、意識しなかったものは無意識下に沈めておくのです。必要になるその日まで。

 

さて、不可思議なことはさらに続きます。

より強烈に「作家になる」という目的にフォーカスすればするほど、あることに気づき、そして確信に変わっていきます。

それはこういう感覚です。

「ああ……必要な状況もスキルもチャンスも、すべて持っていたじゃないか」という感覚。

この感覚が、『今ここにある希望』です。

 

『今ここにある希望』とは、『なりたい自分になる方法はすでに持っている・知っている』ということに気づくことです。

これに気づければ、もう、どんな逆境でも怖くありません。

というか、逆境であればあるほど「じゃ、どうすればいいの?」と自動的に自問自答して、今あるものの中から解決策を導き出せます。

面白いもので、ぼくの『すでに持っていたモノ』とは、躍起になって売上あげていたときに身につけたモノなのですね。お金をもらって勉強させてもらっていたわけです。我ながら、すごい巡り合わせです。

そうしてぼくは、無事、書籍を出版することができて、次回作のオファーもくるようになりました。

 

すでに持っているということに気づくこと、それが『今ここにある希望』

あなたが幸せに至る方法は、今もうすでに持っているんです。

それに気づければ、当然ですが希望が持てます。

「ああ、今の自分でも十分にやれるじゃないか」という感覚。これが大変重要です。

でも、嫌な気分に飲み込まれていると、心理的な盲点が存在し、それが見えないのですね。

そうならないために、目標設定が大切になってきます。

目的をより具体的に、よりシャープにすれば、『今ここにある希望』に自ずと気づけるようになります。

自己啓発でよく言われる目標設定とは、こういう理由から必要なのです。ちなみに上司や社長が『売上200パーセントUP!』と目標設定してもなんの意味もないのです。誰かから与えられた目標など役に立ちません。

あくまでも、自分で作った本当の目標だけが意味を持ちます。他人の作った目標なんて、本気で取り組もうなんて思えませんから。

そして『本当の目標』とは、『将来の恐怖』を──つまり不安を心底感じることから始まります。

強烈な不安感が、つまり危機感がないと、そんなことを考えたりしないからです。

 

例えば、今の仕事に嫌気が差しているならば、どうしてそれを変えないのでしょうか?

なぜならば、将来起こりえるもっと酷い状況が怖いからです。失業という状況が。

ならばどうして、『失業することなく、仕事をしなくてすむ方法』を考えないのでしょうか?

なぜならば、『毎週末、居酒屋で愚痴っていればとりあえず気が晴れる』からです。

不安をよりシャープに突き詰めていけば、あと20年も30年も、嫌な会社に勤められるのかに行き着きます。もしこの例が、あなたの今の状況にそっくりで、でも30年先のことを考えていないのであれば──それが『思考停止』ということです。

思考停止していては、何も引き寄せられません。何が欲しいのか願ってませんからね。

嫌な気分になってもいいのです。身を焦がすほどの不安に駆られてもいいのです。そうやって始めて、自分の目標を考えるようになるのですから。

 

いま不安でどうにかなりそうな人は、ぜひ、目標を考えてください。

すべてはそこから始まります。

今が不安でツラいほど、目標が定まれば瞬間に、凄まじい勢いで行動するようになります。行動すれば、棚からぼた餅も落ちてきます。

引き寄せの法則とは、自ら立てた目標に、自らの意志で動いている人のみに働くのです。

そして目標に向かって励んでいるとき、いまがどんな逆境であろうとも、心地よい高揚感に包まれていることでしょう。

 

大変な状況であろうとも、というか大変であればあるほど、人は発憤することができる生き物なのです。

できないのは、目標が曖昧か、言うほどツラくないかのどちらかです。

そして目標に向かっていくときの高揚感が、摩訶不思議な幸運を様々に引き寄せてくれるのですね。

そのときの絶妙な引き寄せこそ、理屈では説明できない法則なのです。